サカタカツミノブログ

個人的なブログ。ブログなんてすべてそんなものだけど。

ちらし寿司の向こう側に。

バラチラシ。プロデュース予定の単行本のミーティング後のランチ。シンプルな美味さ。

子供のころ、ちょっとした行事の後、例えば運動会なんかがそうだ。その日の夕食はなぜかちらし寿司だった。写真のような魚介がふんだんに盛り込まれたようなものではなく、椎茸を甘く煮たもの、刻んだかんぴょう、蓮、デンブ、錦糸卵といった、簡素なもの。もみ海苔も入っていたかな。切りごまが酢飯にコクを出していた。特別に美味いものではなかったけれども、その日が特別だったから、やはり特別な味がしていたような気がする。祖父が母のちらし寿司は「絶品だな」と、いつも褒めていた。

大人になって。あのときのように特別な日にちらし寿司を食べるという習慣はない。ただ、思い出したように食べたくなって、手近な鮨屋で口にする。イマドキの吹き寄せタイプのちらしも嫌いじゃないけれど、ばらちらしがやはり美味しいと思う。口の中でいろんな味が弾けるのがたまらない。いま、箸でとったものだから、なにを食べているのかわかっているはずなのに、なお、口の中で再確認するような、そんな楽しさ。そう考えると、私の中でのちらし寿司は、今でも特別な存在なのかもしれない。