サカタカツミノブログ

個人的なブログ。ブログなんてすべてそんなものだけど。

しみじみと地味で滋味な。

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子どものころはトロの握りが好きだった。腹一杯好きなものを食べていいといわれて、遠慮することなくトロを何十個と食べて、その後「好きなものを食べていい」というお許しが二度となかったことを未だに覚えているくらい。かんぴょう巻きは眼中になく、食べた記憶すらない。そしていま、この歳になって、かんぴょう巻きは大好物である。トロの握りはもう食べないが、ワサビを効かせたかんぴょうの細巻きは、締めに必ず食べる。むしろこれを食べるために、その前の握りをセーブするくらいの存在なのだ。

そう考えると、いま絶対だと思っていることは、意外に儚いことであり、変わらないものなどなにもないということなのだろう。トロの握りがあればほかになにもいらないと思っていたのに、もはやそれ自体がいらなくなっているのだから。こうでなければならない、こうするべきだ、という思い込みには、心がけて注意しなければならないことがわかる。いや、そんな大げさなことではない。ただ、かんぴょう巻きが旨いと感じられる歳になったということだ。四回目の干支を迎えてやっと、ということかもしれない。